【相続コラム】妻の知らない夫の実家の不動産

夫を亡くされた妻Aさんが相談に来られました。

Aさん夫婦には子供がいなかったため、相続人はAさんと、夫の兄弟ですが、兄弟は全員亡くなっていたため、その兄弟の子、つまり甥姪が相続人となりました。

遺産は、家と僅かな預貯金でした。Aさんの今後の生活のことも考え、すべてをAさんが相続することで話し合いがもたれ、基本的には合意しました。

しかし相続人の一人(甥姪)から、「実家に祖父名義の不動産があるはずだ」という話になりました。

Aさんにはなんのことか分からなかったのですが、不動産の登記簿を調べてみると、夫の実家の不動産は亡くなった夫の両親の名義(父母共有)のままになっています。

先代から代々続いている田畑でした。この名義を変更するには、夫の両親の相続人全員の合意が必要です。夫は亡くなったので妻であるAさんも相続人として遺産分割協議に入らなければなりませんでした(相続人は夫の兄弟の奥さんやその子など総勢14人でした)。

夫の実家の不動産は継いでいる甥の名義にすることで合意し、特に争いなく相続は完了しましたが、Aさんとしては、夫の相続をきっかけに、全く知らなかった夫の実家の財産の相続にまで自分が関わることになるとは本当に驚いていました。 

このように、誰の相続に自分が関わることになるかは事が起きるまで意外と分からないものです。後で大変なことになる前に、その都度きちっと名義変更するよう心がけましょう。

行政書士 青木克博

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