【相続コラム】病床の夫の希望

以前ある奥様から、病床の夫が遺言書の作成を希望しているとのご相談をいただき入院先の病室を訪問いたしました。

ご主人は余命の告知を受けており、自筆で遺言書を書くほどの体力もなく、困っているとのことでした。このままでは相続で揉め事が起きそうで、数年前からずっと気がかりで、何とか遺言書を遺しておきたいとのご相談でした。

さっそく公証人の先生と相談をして、病床での公正証書遺言の作成に取り掛かりました。少しずつですが作成の段階で、ご主人の顔色が晴れやかになっていくのを感じました。

遺言作成から2か月後に奥さんからご主人が亡くなったというお知らせを受けました。遺言を遺せたことで安心したのか、最後は安らかな表情で眠るように亡くなったとの感謝のお電話でもありました。

一般的には遺言は必要と思いつつもきっかけが見つからず、なかなか遺言の作成に踏み出せない方が大勢いらっしゃいます。公証人役場に出向けない場合、前例のように病床や施設、自宅等での遺言作成も可能ではありますが、容態によっては間に合わないこともあります。

よい遺言を遺すには是非、元気なうちから充分なゆとりをもって取り掛かることをお勧めします。

行政書士 青木克博

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