親族が亡くなり相続が発生した場合には、相続人で遺産を分ける前に、まず遺言書の有無の確認を行います。民法には相続分の規定がありますが、もし遺言書が存在し有効な記載であれば法定相続分よりも遺言書の記載が優先することになりますので、遺言書の存在の有無によって相続分やその後の相続手続も大きく変わってくることになります。
公正証書遺言(公証人役場で作ってもらう遺言)であれば、作成した時点で遺言公正証書の謄本が発行されていますが、もしそれが見当たらない場合でも、平成に入って作成されたものであれば公証人役場にてオンラインで遺言有無の検索をすることができます。
ただ自筆証書遺言(手書き遺言)については、亡くなった人から生前に遺言書を作成したことを話していたり、エンディングノートなどに遺言書の保管場所が書いてあれば推測はつくかもしれませんが、そうでない場合は、とにかく心あたりの場所を探してみる他ありません。
机の中、書棚、仏壇の引き出し、貸金庫、親しくしていた専門家に聞いてみるのもいいでしょう。存在するか分からないものを探すのは至難の業です。ですから遺言を遺す際には家族に遺言の存在を把握できるよう準備を進めたいものです。
行政書士 青木克博