あるお父さんが亡くなり、相続人は奥様と長男と長女。
あまり交流がなく長男、長女も離れて暮らしているため、お父さんはしっかり遺言書を作成しておられました。
内容は建物(奥様と共有)の持分は奥様に、預貯金は奥様、長男、長女に3分の1づつ。その他の財産はすべて長男にということでした。
一見すると問題のない内容に見えるのですが、この、その他の財産を長男にというところに問題が・・・。
よくお話を聞いてみると、お父さんは自動車を所有されており、使用者は奥様。またお孫さん(長男の子2人、長女の子3人)を被保険者に農協の共済を契約しており、受取人もお父さんご自身でした。
この遺言に従うと、自動車、共済の権利は長男が引継ぎ、長男所有の車を奥様が乗り、長女の子供が被保険者の共催に長男が契約者受取人になることになります。
実際は、相続人全員で一番いい方法を話し合い、すべて奥様が相続することで合意しました。せっかく書いた遺言書が幻になってしまいました。
遺言書は亡くなった後に家族に最も良い状態で実現されるように慎重に作成することが重要ですね。
行政書士 青木克博